他社への譲渡(M&A)
他社への譲渡(M&A)

M&Aをご検討の会社様は、苦渋の決断かと思います。自分や親の代が立ち上げ、苦労して育てた子供のような会社です。最近はM&Aをゴールに設定して、初めから売却前提で事業を立ち上げる方も増えましたが、まだまだ少数派です。
しかし、他社への譲渡は、後継者不足の会社様にとって、とても有効です。
1. 創業者利益の会得
第一に創業者利益が得られます。
会社経営は過酷です。借入金について個人保証をし、売上や利益が上がったらやっかみを受け、下がったら身銭を切ります。これは極端ですが、大きなリスクを背負っています。
会社を譲るということは、様々なプレッシャーから解放され、更に株式の譲渡対価が入って来ます。では、いくらの譲渡価額になるかということですが、ザックリであれば「純資産+税引後利益の2~5年分」という回答となります。

2. 会社の成長

第二に、会社が成長する点です。
事業の譲受先は、ほとんどが自社よりも大きな会社となります。販路や従業員管理ノウハウを有しています。自社の技術や製品を、新たな業界に提供すること等で、売上や利益が上がり、従業員の待遇も向上する場合があります。例えば、家具業界の板金加工を行っていた製造業Aは25%の低利益率が原因で赤字体質、後継者もいませんでした。鉄道業界の製造業BはAをM&Aにより取得し、熟練従業員と設備をBの事業に傾注することで、売上・利益ともに改善し、従業員の処遇も改善されました。
ただし、やはりデメリットもあります。
特に問題となるのは、譲渡後に統合(PMI)が上手く行かない場合です。
譲渡契約が締結されるまでは従業員さんにも知らされません。譲渡側の従業員さんは突然会社のオーナーが変わることを知らされ不安に思うと同時に、更に上司まで変わり、方針も変わると、動揺するのは自然なことです。
会社を伸ばすためにM&Aをしても、成功率は4割と言われています。見込み違いもありますが、この従業員の不和も大きな要因です。キーマンには譲渡契約前にそれと無く話をしておく、また、譲渡後いきなり方針を変えるのではなく、徐々に変えていきましょう。また、譲渡後の統合(PMI)を見据えた話し合いも、譲渡前に行っておく必要がありますね。