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事業承継税制

ご子息様への親族内承継や従業員さんへの親族外承継において、自社株の移転が障壁になると述べました。承継者に多額の贈与税や相続税が課されるためです。

日本全国の社長の平均年齢が65歳を超える異常事態に、国もようやく本腰を上げました。承継を妨げている一因である自社株の移転に係る贈与税や相続税を猶予、最終的には免除を視野に入れるもので、これが事業承継税制です。

事業承継税制の全体像を以下に示します。複雑な税制ですが、わかりやすさを優先に作成しているため、平易な言葉を選択し、簡便なパターンによっております。詳細はコチラのページをご覧いただくか、税務署、若しくは当社まで直接ご相談ください。

1. 「特例承継計画」の提出

平成35年3月31日までに「特例承継計画」の提出

会社

都道府県知事

「特例承継計画」の確認書交付

会社

都道府県知事

< 条件 >

  • 中小企業者であること。
  • 会社法上の会社であること。
  • 非上場会社であること。
  • 有価証券の配当や受取利息、不動産の受取家賃や譲渡収入などいわゆる不労所得が総収入額の75%を 超えていないこと。
  • 風俗会社でないこと。
  • 関連会社に上場企業がいないこと。
  • 要経営革新等支援機関から所見を得ること。

2. 贈与税の猶予申請

平成39年12月31日までに自社株を贈与し、「贈与税の猶予申請」

会社

都道府県知事

「贈与税の猶予申請」の認定

会社

都道府県知事

贈与税申告

後継者

税務署

贈与税納税猶予

< 条件 >

  • 先代は会社の代表者であったこと。贈与までに代表でなくなっていること。同族関係者と合わせて総議決権の50%超を保有していること。
  • 後継者は贈与までに代表者であること。20歳以上で、かつ役員就任後3年以上であること。贈与により株式の保有数が過半数を超えること、など。
  • 後継者は納税猶予後、5年間は代表権と株式の保有を継続すること。
  • 納税猶予後、5年間は従業員数を80%以上維持すること。維持できない場合は経営革新等支援機関の支援を受けること。
  • 上記の要件を継続していることを5年間毎年1回都道府県や税務署に届け出ること。その後は3年に一回届け出ること。

3. 切替確認申請

先代の死亡から8か月以内に「切替確認申請」

会社

都道府県知事

「切替確認申請」の確認書交付

会社

都道府県知事

相続税申告

後継者

税務署

2の贈与税納税猶予が免除

相続税納税猶予

4. 後継者の死亡

後継者の死亡

相続税納税猶予

当社の事業承継税制の考え

条件は多いですが、ほとんどの中小企業はこの事業承継税制の適用を受けられるはずです。本税制は事業承継が進んでいない現状を抜本的に変えようという国の執念を感じるほどの大盤振る舞いの税制と言われています。5年という期間制限は延長されない見込みです。

では、今すぐにでも事業承継税制の適用を受けるべきか。当社の考えは「特例承継計画の提出はOKだが、猶予申請は要検討(どちらかというと後ろ向き)」です。

理由は大きく分けて2つです。

出口が少ない

事業承継税制はあくまで贈与税および相続税を「猶予」するものです。最終的には支払わないといけない可能性があります。
完全に猶予されるには、事業承継税制の適用を受けた2代目が死亡した時、のみです。

経済はめまぐるしく動いています。2代目は時代の流れに様々な対応を取るでしょう。その中で、いわゆるM&Aという戦略を取ることもあります。株式を譲渡すれば、猶予されていた税金は利息をつけて納税する必要があります。

また、3代目への事業承継を考える時期も来ます。贈与の基礎控除(110万円)を使って少しずつ暦年贈与を行うことも出来ません。正確には出来るのですが、その場合は猶予されていた税額のうち、贈与に係る部分は利息をつけて納税となります。
同じように事業承継税制を受けることはできますが、その時には5年の期間は過ぎていますので、全額猶予とはならず、約50%の納税が発生します。

つまり、2代目の死亡までは自社株については何も対処出来ない状況になります。これは事業承継税制の大きなデメリットです。

行政庁への報告要件が厳しい

猶予を受けた時から5年間は毎年、都道府県に従業員数などの適用要件を満たしていることを書面にて報告します。その後は3年ごとに所轄税務署へ同様の報告が必要です。報告を怠れば、その時点で納税猶予は取り消し、利息をつけて猶予税額全額を支払う必要があります。

毎年なら、同時期に提出するので失念することは少ないでしょう。しかし3年ごとに、期限通りに2代目の死亡まで何十年も報告する、というのは相当困難です。税理士さんが変わることでもあれば、更に困難を極めます。

この2つのリスクを顧問税理士・顧問弁護士と一緒に十分に検討しましょう。
とはいえ、事業承継計画は5年間に提出する必要があります。本計画の認定を受けることによるデメリットはありませんので、まずは本計画を提出、そしてその後5年間の間に方向性を検討されることをオススメします。

当社は事業承継計画の提出(認定支援機関確認書のみの対応も可)、猶予申請への相談、を承ります。お気軽にご相談フォームからお問い合わせください。

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